ベネズエラ国会、官製仮想通貨の「ペトロ」承認!国内で正式利用可能に

ベネズエラ国会、官製仮想通貨の「ペトロ」承認!国内で正式利用可能に

ベネズエラの国会であるベネズエラ制憲国民議会は2018年11月21日、仮想通貨の規制法案を承認しました。法案は64の条項と5つの暫定的な規定から成り立っており、ベネズエラ政府発行の仮想通貨「ペトロ」が国内の商取引の正式な会計単位として承認されました。

これにより、ベネズエラの国民や企業は品物やサービスをペトロで買うことが可能になります。

苦しいベネズエラの経済事情と、そこに定着するビットコイン

ベネズエラは南米北部に位置する国家です。1980年代頃までは豊富な原油埋蔵量を武器に南米屈指の富裕国として栄えていましたが、原油価格の低迷や失政によって経済が低迷。国家予算の穴を埋めるために大量の紙幣を印刷した結果インフレが加速し、国民生活は混迷を極めました。

国際通貨基金(IMF)は同国通貨「ボリバル」のインフレ率が2018年末までに100万%に到達する可能性があると指摘しており、苦しい状況が続いています。

これに伴い、同国内ではビットコインの需要が高まりつつあります。ビットコインもボラティリティの高い通貨ではありますが、それでもボリバルのように価格が一方的に下落し続けることはなく、外国への送金も簡単なことから、自国通貨に見切りをつけて仮想通貨を使う人が増えてきているのです。

参考ページ:インフレ率1,000,000%!激減所得の穴埋めに紙幣刷るベネズエラの失政

一方、ベネズエラ政府は2017年に石油資源を裏付けとした仮想通貨「ペトロ」の発行を発表。ペトロとボリバルを並行して流通させ、ペトロの価格が安定すればボリバルが下落しても大した問題にはならないという見立てでしたが、結局ボリバルのインフレは収まらず、ペトロは流通せず、世界の仮想通貨熱も当時と比べて鎮まっています。

今回の法案承認には、なかなか流通しないペトロを流通させる意味合いもあるようです。

それでもペトロは流通しない?

しかし、多くの海外の専門家は、ペトロの硬貨について疑問を投げかけています。アメリカのワイアード誌は「ペトロは現政権の失政隠しのスケープゴート」としており、ロイターは価値の裏付けとなる石油に実態がなく、採掘されていないと主張しています。

イギリス投資銀行のブラウン・ブラザーズ・ハリマンはレポートの中で、ペトロの価値は石油価格と現政権への信頼によって決まるが、少なくとも投資家の間では政権に対する信頼はほぼないと述べています。

米財務省は、経済制裁の対象であるベネズエラのペトロを購入することは違法行為であり、国内投資家に対して買わないように呼びかけています。

こうした八方塞がりの中で、今回の法案通貨がどこまで意味を持つのかは不明です。しかし、現状世界の大手取引所でペトロが全く取り扱われていないことを考えると、先行きは苦しいものと推測せざるを得ないでしょう。

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