目次
BTBの概要
通貨名称 | BTB(BitBar) |
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最大発行数 | 約50万枚 |
公開日 | 2013年5月 |
公式サイト | https://bitbar.co |
ホワイトペーパー | – |
BTBの特徴や目指しているもの
BTB(BitBar/ビットバー)は、2013年5月に公開された、かなり歴史のある仮想通貨です。多くの仮想通貨が日常的な決済手段として使われることを主な目的としているのに対して、BTBは価値を保管するための手段として使われることを主な目的としています。
最大発行数が非常に少なく、公式サイトに「単価が高くなるように設計している」という記述があることを考えると、通貨というよりは金の延べ棒(Bar)に近いと言えるかもしれません。
通貨の3つの役割とは
今回はBTBの話をする前に、通貨というものが持つ機能について解説いたします。経済学の分野では、通貨(お金)には以下の3つの役割があると考えられています。
- 交換機能
- 価値尺度機能
- 価値保存機能
交換機能とは、お金を媒介として物やサービスを交換する機能です。もっとわかりやすく言えば、決済手段としての機能です。
お金というものが誕生する前、人々はいわゆる物々交換で自分の欲しいものを手に入れていましたが、この方法には大きな欠点がありました。自分が欲しいものを相手が持っており、なおかつ相手が欲しいものを自分が持っているという厳しい条件が満たされないと、交換が成立しなかったのです。
しかし、お金という媒介が誕生して以降は、自分が持っているものを欲しい人に売って、そのお金で別の人から自分が欲しいものを買えば良くなったため、欲しいものをより容易に、早く手に入れられるようになりました。
価値尺度機能とは、物の市場価値(価格)を共通の単位(日本の場合は円)で表し、比較できる機能です。
例えば、パソコンが1台10万円、自動車が1台300万円で売られているのを見れば、自動車1台にはパソコン1台の30倍の市場価値があることがすぐに分かります。りんごが1個100円、みかんが1個50円なら、みかん1個はりんご1個の半分しかないことがわかります。みかんと自動車という、性質が大きく異なる物の価値も簡単に比較できます。
価値保存機能とは、その名の通り価値を保存する機能です。価値とは簡単に言えば価格のことです。前述の通り物には市場価値(価格)がありますが、通常それは時間が経てば経つほど減少していきます。例えば最初は高い市場価値があったパソコンも、時間が経てば故障しやすくなったり、上位機種が出たりするため、価値が下がっていきます。みかんも時間が経てば新鮮さが失われて価値が下がっていきます。
一方、通貨は通常故障することも上位機種が出ることも腐ることもないので、価値が保たれます(物理的に劣化することはあっても同等の価値がある別の通貨と簡単に交換できます)。1万円札を10年間金庫に入れっぱなしにしても、それが5000円札になったり100円玉になったりしないというのは、当たり前なようですが、実は通貨の重大な機能の1つなのです。
他の仮想通貨とBTBの違い
新しい通貨である通貨も、上記の3つの機能を備えていると考えられます。例えばビットコインは交換手段として使えますし、物の価値をBTCという共通の単位で比較できますし、時間が経っても勝手に10BTCが5BTCになったりしません。ライトコインもモナコインもリップル(XRP)も同様です。
ただし、3つの機能のうちどれを特に重視しているかは、通貨によって異なります。
現状、多くの仮想通貨は日常的な決済手段として使われること、すなわち交換機能を重視した設計になっています。そのために多くの店舗に対してマーケティングを行ったり、仮想通貨取引所への上場を目指したりしているわけです。
一方、BTBはどちらかといえば価値保存機能を重視した設計になっています。それ自体で決済をすることよりも、それによって価値を保つことがメインの役割なわけです。こうした機能は通貨というよりも金の延べ棒などに近いものがあります。ただし、BTBは金の延べ棒と違い、決済手段としてもより容易に利用できます。
BTBはどのように価値を保存するか?
通貨が価値保存機能を十分に発揮するためには、通貨の量が十分にコントロールされており、なおかつ発行量上限が少なく設定されている必要があります。
もし通貨の量がコントロールされていないと、市場に通貨が大量に供給されてしまう可能性があります。供給ばかり増えればその価値は暴落してしまい、価値保存機能を果たすことはできません。
また、発行量上限が多いと単価が下がり入手しやすくなるため、日常的な決済手段として使われるようになります。そうなると価値保存機能よりも交換機能が優先されてしまいます。交換機能を果たすことは悪いことではありませんが、本来の目的からは外れてしまいます。価値保存機能を果たすためには、ある程度の希少性が必要なのです。
BTBは発行量上限を約50万枚と非常に少なくすることによって希少性を確保し、価値保存機能を実現しています。発行量50万枚はビットコインの42分の1、ライトコインの168分の1、リップル(XRP)の20万分の1という数字であり、主要な通貨と比べると発行枚数が非常に少ないことがわかります。
また、発行枚数が少ないということは、単価が上がりやすいということでもあります。時価総額が同じでも、発行枚数が10分の1になれば、単価は10倍になります。BTBはアルトコインでは初めて単価でビットコインを超えた通貨であり(現在はビットコインが抜き返しています)、そのため一部では有名です。
BTBの元となった通貨は?
BTBは、NVC(Novacoin)とPPC(Peercoin)をベースにした仮想通貨です。具体的には、コードは前者を、難易度と報酬は後者をベースにしています。
BTBのコンセンサスアルゴリズムは?
コンセンサスアルゴリズムにはPoW(Proof of Work)とPoS(Proof of Stake)の2つを採用しています。コンセンサスアルゴリズムとは、新しいブロックの生成及びそれによる報酬受取の権利(マイニングの権利)を誰に与えるかというルールのことです。
PoWは計算を最も早く解いた者にマイニングの権利を与えますが、PoSは保有通貨量に応じてマイニングの権利を振り分けます。どちらも一長一短の仕組みですが、BTBは2つとも採用することによってメリットを最大限享受しようとしています(最近は同様の仕組みを採用する仮想通貨が増えてきています)。
難易度調整の仕組み
BTBの難易度調整はPPCがベースとなっています。難易度調整とは、ブロックチェーンを採用している仮想通貨において、ブロック生成の間隔(マイニングの間隔)を一定にするために行われる調整のことです。
BTBの場合、ブロック生成間隔は10分と設定されています。にもかかわらずブロックが9分間隔で生成されている場合は、難易度を上昇させて10分に調整します。逆に11分間隔で生成されている場合は、難易度を下降させて10分に調整します。
ASIC耐性で公平なPoWを実現
BTBにはASIC耐性があります。ASIC耐性とは簡単に言えば、ASICという専用の機器でマイニングされない・されづらい仕組みのことです。
PoWは計算競争を促す仕組みです。計算競争に勝てば勝つほどマイナー(マイニングをする人)は多くの報酬をもらえるため、必然的にマイナーはより計算能力の高いコンピュータを使おうとします。これがASICです。ASICは高性能な代わりに高額であるため、個人のマイナーや弱小マイニンググループが大量に用意するのは大変です。
計算競争が激化すればするほど個人のマイナーや弱小マイニンググループは競争から脱落し、ASICを大量に保有する大規模なグループだけがマイニングを寡占するようになります。これは分散化という概念に反していますし、51%攻撃といったリスクも高まります。
そこで最近は、ASICでのマイニングを難しくするASIC耐性を備えた仮想通貨が増えてきています。BTBもそんな通貨の一種であり、ASICでは容易にマイニングできません。
年利5%が得られるPoS
PoSは仮想通貨の保有量に応じてマイニングの権利を振り分ける仕組みです。通貨の保有量が多ければ多いほど多くの報酬がもらえるという仕組みは、銀行預金にも似ています。PoSを保有した時に受け取れる報酬は年利換算で5%であり、銀行預金よりもずっと高い利回りを実現できます。
筆者が考えるBTBの今後の将来性
現時点では、あまり将来性はないと考えています。通貨としての性能は決して悪くありませんし、コンセプトも面白いのですが、価値保存手段としての仮想通貨にどこまで需要があるのか図りづらいですし、そもそも価値を保存したいのならば価格が比較的安定しているビットコインでも問題ないように思えるからです。ビットコインの発行枚数も2100万枚と十分少なく、希少性があります。
公開からすでに5年も経過している割に上場先が少ないのも懸念点です。Twitter上での情報発信は未だに積極的に行われているため、開発がストップしたわけではないようですが……。
BTBが日本に上場する可能性
現時点では、日本の仮想通貨取引所に上場される見通しは立っていません。すでに複数の海外の仮想通貨取引所に上場されていますので、気になる方はそちらを利用するといいでしょう。
BTBが購入できる海外の取引所一覧
- Cryptpia
- C-CEX