Segwitとは?Segwitの実装で改善されるビットコインの問題点

Segwit(セグウィット)を解説

ビットコインの認知度上昇にともない取引量が急上昇していて、送金詰まりや送金手数料などの諸問題(スケーラビリティ問題)が深刻化しています。スケーラビリティ問題の悪化はビットコインを使いづらい仮想通貨にするリスクがあります。この問題を解決する技術のとして注目されているのが、Segwitです。
2018年4月時点でビットコイン(BTC)やライトコイン(LTC)、モナコイン(MONA)などに搭載されており、仮想通貨の使い勝手を向上させる技術として期待されています。今回は、Segwitの

Segwitとは?

Segwit(セグウィット)とは、「Segregated Witness」の略で、直訳すれば「署名の分離」です。具体的には、トランザクションの中にある署名データを分離して保存することでトランザクションのサイズを小さくして、ブロックに格納できるトランザクション数を増やす技術のことです。

segwitの仕組みを図解で解説

署名はビットコインのブロックチェーンの約60%を占めており、これを分離・保存できれば、理論上のブロックサイズは約4倍になるとされています。

Segwitの仕組み

Segwitを詳しく理解するにも、ビットコインのブロックチェーンの仕組みをおさらいしてみましょう。ビットコインのブロックチェーンのブロックは、おおむね10分に1個のペースで生成されます。このブロックにトランザクションのデータ、ノンスやハッシュ値といった各種データが格納されます。

ブロックの大半を占めるのはトランザクションのデータであり、トランザクションのデータはさらに送り先を記載したデータ(アウトプット)と送り元を記載したデータ(インプット)に分けられます。アウトプットの中にはビットコイン送金元のアドレスをロックする「ScriptPubKey」が、インプットの中にはそれを解除する「ScriptSig」があります。Segwitでは、このScriptSigを別の領域に保存します。

ScriptSigを別の領域に保存

別の領域に保存するため、ブロックサイズに余裕ができて、より多くのトランザクションを格納できるようになるのです。

Segwitの実装で改善されるビットコインの問題

Segwitはスケーラビリティ問題を筆頭に、数多くの問題を解決します。どのような問題を解決できるのかを見てみましょう。

スケーラビリティ問題の解決

1ブロックに格納されるトランザクション数は急激に増加しています。Blockchain.infoによれば、2010年頃までは1つのブロックに1つのトランザクションしか格納されないことがほとんどでしたが、最近は1000を超えるトランザクションが格納されることが珍しくありません。2018年以降はビットコインの価格下落に伴いやや落ち着いたものの、それでも高い水準を維持していることは間違いありません。

トランザクションの送金詰まり

10分間のトランザクション数が増加すればするほど、ブロックサイズは圧迫されます。ブロックに収まりきらないほどのトランザクションが行われると、送金詰まりが発生します。ビットコインは送金手数料を高く設定すると優先的に承認される仕組みになっているため、送金詰まりは取引手数料高騰を招きます。トランザクションの急激な増加はビットコインを「遅くて高い」仮想通貨にしてしまうのです。

Segwitを実施すれば前述の通り、トランザクションのデータサイズが小さくなるため、1つのブロックに格納できるトランザクションの数が増えます。それはビットコインを「安くて早い」理想の仮想通貨に戻す上で非常に重要です。

トランザクション展性の解決

トランザクション展性とは、各トランザクションに設定されているトランザクションIDが変更されてしまう危険性のことです。ビットコインはブロックごとに多数のトランザクションが格納されており、それを識別するためにトランザクションIDが与えられます。トランザクションIDは署名データなどから自動的に導き出されます。

Segwitが導入されていない仮想通貨では、トランザクションに含まれるアドレスや送金量(受取量)を変更しないまま、トランザクションIDだけを変更できるリスクがあります。一部のウォレットにはトランザクションIDだけをトランザクションの識別に用いているものがあります。言い換えれば、トランザクションIDを変更すれば、二重支払いが可能になってしまうわけです。

SegwitはトランザクションIDの改ざんが難しい

Segwitを導入すると、トランザクションIDを導くための署名データが別領域に保存されるため、トランザクションIDを勝手に書き換えられづらくなります。

Segwitのデメリット

このように各種問題を解決できるSegwitですが、決して万能の技術というわけではなく、デメリットも少なからず存在します。

ウォレットの対応が必要になる

Segwitの最大のデメリットは、すべてのウォレットに実装されるまでには時間がかかることです。ビットコインにSegwitが導入されても、取引所やウォレット、ハードウェアウォレットなどの各ウォレットがそれに対応しなければ、その機能を使うことはできません。

ユーザーはウォレットの仕様を変更できないので、セグウィットのメリットを享受するためには、ウォレットがSegwitに対応するのを待たなければならないのです。日本ではBitFlyerやBitbank.cc,海外ではBitstampなどの取引所のほか、TrezorやLedgerなどのハードウェアウォレットが対応していますが、未対応のウォレットも少なくありません。

一時しのぎでしかならない可能性がある

Segwitはビットコインのブロックチェーンのブロックサイズを擬似的に拡大しましたが、これで十分である保証はどこにもありません。さらなる拡大のためにライトニング・ネットワークという新技術の搭載を検討するなどしていますが、元来のサイズの小ささはどこまでもネックになりそうです。

新技術に期待しすぎず注目しよう

仮想通貨は新しい技術であり、既存の仮想通貨であっても新技術の導入により利便性の向上や人気回復による時価総額の上昇などが期待できます。その反面、新技術の導入に過剰な期待をすると、価格のつり上げやはめ込みにあうリスクも無視できません。
新技術の動向には大きな期待をかけすぎず、それでもある程度の注目をしながら取引する必要がありそうです。

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