ビットコインをはじめ多くの仮想通貨にはマイニングによって得られる報酬が半分になる時期(半減期)が定められています。ある仮想通貨の半減期を知ることは、直近の値動きを予測する重要な要素の一つです。
今回は、半減期の仕組みや半減期を設定する理由、半減期が価格に与える影響を見てみましょう。
マイニング報酬が半減する「半減期」
ビットコインを筆頭に多くの仮想通貨は、すべての取引をブロックチェーンと呼ばれる取引台帳に記録する仕組みを採用しています。この取引台帳に記録する行為のことをマイニングといいます。
マイニングにはコンピュータを用意して、難解な計算を解く必要があるので、無報酬では参加を期待できません。マイニング報酬はマイニングの見返りとして支払われるご褒美です。マイニング報酬があるからこそ多くのユーザーがマイニングに参加して、取引台帳の健全性の維持に繋がっているのです。
マイニング報酬は「新規発行分の通貨」と「取引者が支払った手数料」で成り立ちますが、多くの仮想通貨は「新規発行分の通貨」を徐々に減らす仕組みを採用しています。この仕組みをもっともわかりやすい形で取り入れているのが半減期です。
半減期が来ると、マイニング報酬で得られる報酬はその瞬間に半分になります。例えば、半減期の間隔が2年、初期の発行枚数が10枚に設定された仮想通貨の場合、最初の2年間は1回のマイニングで10枚の新規発行分の通貨が得られますが、その後の2年間は5枚、更にその後の2年間は2.5枚……という感じで減っていきます。
年数 | マイニング報酬 |
---|---|
1年目~2年目 | 10枚 |
3年目~4年目 | 5枚 |
5年目~6年目 | 2.5枚 |
7年目~8年目 | 1.25枚 |
9年目~10年目 | 0.625枚 |
仮想通貨によって異なる半減期
例えば、仮想通貨の代表であるビットコインなら、21万ブロック生成(概ね4年ごと)に半減期が訪れます。実際に2012年11月に1回目の半減期、2016年7月に2回目の半減期が来ています。

ライトコイン(LTC)でも84万ブロック生成(概ね4年ごと)に半減期が訪れます。ライトコインも実際に2015年8月に1回目の半減期が来ていて、2回目の半減期は2019年8月前後に来る見通しです。
なぜ半減期が設定されているのか
半減期を設定する最大の理由は、インフレを防ぐためです。インフレは一般的に、貨幣の供給が需要を上回るペースで増加したときに発生します。仮想通貨のように半減期が設定されていない法定通貨では、貨幣は理論上はいくらでも増刷できます。
通貨の供給量が需要量に対して増加すると通貨の価値が下がり、通貨の交換対象である物の価値(物価)が上昇します。ある程度のインフレは安定した経済成長に欠かせませんが、行き過ぎたインフレは経済に大きな混乱をもたらします。

一方、仮想通貨は事前に定められた計画に従って発行されるので、裁量的な金融緩和によって通貨発行量が過剰になる心配はありません。したがってインフレは起きづらく、むしろ半減期によってデフレが進む可能性が高いです。
法定通貨にとってはあまり望ましくないデフレですが、仮想通貨にとっては価格の安定した上昇を招くなど、望ましい面が大きいです。
マイニング報酬を減らしてもマイニングは続く?
半減期で新規発行額が減少すると、マイニングをする人が減ってブロックチェーンの健全性が揺らぐのではないかと思われるかもしれません。確かにそういう懸念がないとはいえないですが、現時点ではあまり心配する必要はなさそうです。なぜなら、仮想通貨の価格が上昇すれば、半減期で新規発行額が半分になっても法定通貨換算での報酬は増えるためです。
ビットコインを例に見ると、1回目の半減期直前のマイニング報酬は50BTCであり、日本円換算の報酬は約100万円でした。2回の半減期を経た時点でのマイニング報酬は12.5BTCまで減っていますが、日本円換算のマイニング報酬は約1250万円まで増加しています。また、マイニング報酬には取引手数料も含まれるので、新規発行がなくなってもマイニング報酬がただちに0になることは考えられません。
半減期はビットコイン価格にどう影響する
半減期が来ると通貨の供給ペースが鈍るため、需要の増加ペースが一定ならば価格は上昇することが予想されますが、この通りの値動きをするとは限りません。他に仮想通貨の価格を値下がりさせる現象が起きれば、そちらに引きずられるでしょう。