仮想通貨は「テロリストにとって使い勝手が悪い?」米議会で議論

テロリストと仮想通貨の関係性を米会議で議論

米議会のテロおよび不正融資に関する小委員会が、テロリストの資金集めの脅威や手法に関する議論を行いました。議論ではテロ組織が仮想通貨により資金調達をしていたが、その結果はテロリストたちにとって望ましいものではなかったことが確認されました。

参考ページ:cointelegraph.com

テロリストは仮想通貨を使えない?

米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の制裁・不正融資センターの分析責任者、ヤヤ・ファヌージ氏は、テロリスト、特にジハードの戦いに身をおいている者たちの大多数は「仮想通貨で必要な物品を買うことができず、実際には法定通貨を好んで使っている」と強調しました。

引用ページ(英文):financialservices.house.gov

一方で、テロリストによる仮想通貨の資金調達も行われており、同氏は特に資金洗浄防止などの対策が不十分な小規模な取引所に注目すべきとしました。

仮想通貨は匿名か?

仮想通貨は匿名だからテロリストなどに使われる可能性があり危険、という言説は昔からありましたが、これは概ね間違っています。仮想通貨は一般的に、法定通貨よりも匿名性は低く、このような活動には適していません。

ほとんどの仮想通貨は、取引台帳(ブロックチェーン)が公開されているため、追跡可能性が高いです。対象的に、法定通貨の追跡可能性は極めて低いです。あなたが使ったビットコインがどのような経路をたどったかはわかっても、あなたが使った1万円札がどこにあるかはわからないのです。

もちろん、例外的に匿名性の高い仮想通貨も存在します。

MoneroZcashなどの一部の仮想通貨は匿名性が高く、追跡可能性も低いです。このような通貨は匿名通貨と呼ばれており、その性能が問題視されることもあります。事実、これらの仮想通貨を取り扱っていた国内取引所のコインチェックは、取扱の廃止を決定しました。

》匿名通貨とは?ビットコインと匿名通貨の違いや問題点を詳しく解説

ただし、最近は大手取引所を中心に資金洗浄防止や本人確認の強化などを行っているため、仮想通貨取引所でテロリストが匿名通貨を買うのが難しくなってきています。高度な本人確認が要求されるような仮想通貨取引所ともなれば、テロリストもアカウント作成を躊躇するはずです。

一方で、大量の草コインやトークンを取り扱っているような新興取引所はこれらの対策が不十分なことが多く、そこがテロリストの付け込む余地になっています。前述のファヌージ氏の発言は、このような現状を踏まえてのものだと思われます。

テロリストにとって使い勝手が悪い通貨は「良い通貨」である

テロリストにとって使い勝手が悪い通貨は、テロリストではない人たち、あるいは国家にとっては望ましい通貨です。国家にとって驚異となる存在に資金が行き渡らないようにするのは良いことです。

米議会でこのような結論が出されたことは、米政府の仮想通貨に対する態度を軟化させる可能性があります。規模も注目度も大きい米国でそのような流れができた場合、仮想通貨市場は活性化することでしょう。

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