大手仮想通貨取引所バイナンス(Binance)のCEOである趙長鵬氏が、バイナンスが発行する仮想通貨「BNB(バイナンストークン)」をガスとした分散型の仮想通貨取引所の公開ベータ版を年末~年始に解説すると発表しました。
Just had a productive meeting for #Binance #DEX (decentralized exchange), where $BNB will be native gas, and the exchange don't control user funds. Aiming for a public beta end of the year/early next year. Yes, we work on Saturdays, non stop!
— CZ Binance (@cz_binance) 2018年9月29日
この分散型取引所はBNBをガス(燃料)として稼働する自律型の取引所で、従来の中央集権型取引所と比べて盗難・ハッキングのリスクが非常に低いのが特徴です。
分散型取引所ってどんな仕組み?
仮想通貨取引所は大きく、中央集権型取引所と分散型取引所に分けられます。
前者は運営が存在する取引所で、バイナンスのほかフォビー・ビットレックス、あるいは国内のビットフライヤー・GMOコイン・ビットバンクなどが該当します。
中央集権型取引所は利用者数が多く各種サービスが充実しているというメリットがある一方で、秘密鍵を運営に委託するため、内部の不正リスク・外部からのハッキングリスクにさらされるデメリットがあります。人の手によって運営されるものである以上、どこかに必ず隙はあります。
一方、分散型取引所は、このような中央集権型取引所のデメリットをなくすために考案された、運営が存在しない取引所です。運営が存在しないので秘密鍵を預ける必要もありませんし、その透明性も高いです。トラストレス(信頼できる第三者の介入を必要としない)なしくみでありながらスムーズに取引できます。
一方、サービスは非常にシンプルで、開発陣の身元も不透明なことが多く、信頼もあまり得られていないことから、中央集権型取引所とくらべると現状ではマイナーな存在に甘んじています。
バイナンスの分散型取引所が仮想通貨取引の常識を変える?
バイナンスの分散型取引所は、これまで当たり前だった中央集権型取引所優位の市場を大きく帰る可能性を秘めています。
これまで開発陣の身元の不透明さから避けられることが多かった分散型取引所ですが、バイナンスの作ったものならば十分な信頼が得られるはずです。もともと分散型取引所はメリットの多い仕組みであるため、信頼さえ得られればユーザー数は増えるでしょう。
そして、この分散型取引所はBNB(バイナンスコイン)の大幅な価格上昇をもたらす可能性を秘めています。
BNBはバイナンスが発行している仮想通貨です。2018年9月30日現在の時価総額ランキングは16位であり、NEMやZCashなどの人気銘柄も上回っています。主な使い道はバイナンスの取引手数料と上場通貨の人気投票です。
バイナンスの取引手数料は有料ですが、それをBNBで支払うと手数料が割引されます。そのため、多くのユーザーはBNBで手数料を支払っており、それがBNBの需要増を起こしています。
また、バイナンスは毎月1回新たに上場される仮想通貨を投票で決めるイベント「Community Coin of the Month」を開催しています。BNBはその投票チケットとしても利用されています。具体的には、0.01BNBを支払うことによって、上場させたい銘柄に投票できます。
そして、BNBは今回立ち上げが公表された分散型取引所のガスとしても使われます。ガスとは仮想通貨取引所を維持するために必要な手数料で、システムを可動させる燃料のようなものです。分散型取引所の利用者数が増えれば増えるほど必要なガスの量も増え、それがBNBの価格上昇をもたらします。
分散型取引所には未成熟な点も多いですが、バイナンスの作る分散型取引所には一定の注目をしておきたいところです。