ビットコイン価格が上向き始めた頃から、マイニングをする個人投資家も珍しくなくなってきました。マイニングは仮想通貨取引の中でも、安定した収益を狙える数少ない方法として知られています。
マイニングに興味はあるけど、どうはじめたらいいの?と思っている初心者向けに、マイニング投資の種類やメリットデメリットを見てみましょう。
目次
マイニング(採掘)とは
マイニングとは、新たなブロックを生成する対価としてビットコイン含む仮想通貨を貰う作業です。
マイニングの仕組み
取引所からの大規模流出(GOX)を除いて、ビットコインではこれまで大きな不正取引が起きた事例は知られていません。それは、セキュリティの土台である『ブロックチェーン』と呼ばれる技術に大きな特徴があるからです。ブロックチェーンには過去すべてのトラザクション(取引)の記録が残されていますが、それらを改ざんされてしまうと市場が大混乱に陥ってしまい、ビットコインの存在自体危ういものになるのです。
このような事態を防ぐために、ハッシュ関数と呼ばれる関数を用いています。ハッシュ関数の性質を利用すれば、改ざんを成功させるには全てのハッシュ値を計算し直す必要があるため、改ざんの難易度を引き上げることができますが、ハッシュ値を全て計算し直すこと自体はそう難しいことではありません。そこで生み出されたのが、ナンス値と呼ばれるパラメータを使ってハッシュ値を算出する計算を困難にする方法であり、ブロックチェーンでは『Prof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)』と呼ばれています。
プルーフ・オブ・ワークで使われるナンス値は、1から43億の範囲内で任意の値を取ることできるので、先頭に0が18個も並んでいるハッシュ値を求めるためには、ナンス値を片っ端から入力して計算しています。この作業こそが、ビットコインのマイニング(採掘)であり、厳密に言えばマイニングは、複雑な計算するのではなく条件を満たすナンス値を求めることなのです。現在のところ18桁ですが、マイニングするコンピュータの高性能化に歩調を合わせて、桁数が増える可能性も充分あります。
マイニングで受け取れる報酬
ブロック生成にはナンス値を求める計算能力が必要ですが、これには非常に高性能な演算能力を有しているコンピューターが欠かせません。ブロックを生成しても何にも見返りがないのであれば誰も手を出しません。そうならないために生成した人に対しての報酬が支払われるようになりました。報酬は、それぞれのブロックの先頭にある、『coinbase(コインベース)』と呼ばれる、特殊なトランザクションによって実現されています。
このトランザクションはコインの譲渡先ではなくコイン生成を表すトランザクションであり、生成したときの受取先はブロックの生成者となっています。このトランザクションの性質によって、ブロック生成者達(マイナー)は、定められたコインを報酬として授与されるのです。
このマイニング報酬には制限があり、マイニング報酬を受け取れる人は一番最初に生成した人に限られます。そのため、マイナーは高スペックな自作パソコンを使うことが必須であり、初期費用が多く掛かります。
そして、マイニング報酬はビットコインで支払われるのですが、半減期(参考:半減期とは)に突入してしまうと、貰える分のコインが半分に減ってしまいます。現在の報酬額は12.5BTCですが、最初は50BTCだったので、すでに2回半減期が訪れています。
1BTCが200万であれば生成に成功するだけで、2500万円分の価値、最初であれば1億円分の価値がある訳ですから、マイナーも必死でマイニングする訳です。残念ながら、現実はそう上手くいきません。
以前はある程度のスペックがあるマシンならマイニングの難易度はそれほど高いものではありませんでした。しかし、ビットコインの高騰と共にマイナー人口の拡大や知識競争が激しくなり、モンスターマシンを所有している人も現れてくるので、ほとんどのマイナーは自力でマイニングすることが出来なくなりました。
マイニング企業を見ると単独でスパコン並みの演算能力を持つものもありますし、何百台と並べてマイニング作業をしているので、個人では絶対に勝てません。ビットコインの発掘はマイニングに限られるので、世界中のマイナー達がビットコインの供給を担っていますが、現実は辛いですね。
ビットコインのマイニングは約10分に一度のペースであり、1日単位で見れば約144回です。先ほども書いた通り、一番最初に生成した人しか報酬が貰えないので、誰かがマイニング成功した時点で仕切り直しになり、少しのインターバルを置いて次のマイニング競争がはじまります。そういった性質があるため、基本的にはマイニングマシンは起動し続けることが望まれます。1ヶ月間パソコンを起動し続ければ、当然のように電気代が多く掛かりますが、報酬が皆無ということも珍しくありません。
もちろん、個人できちんした知識を身に着けていれば、稼げる方法はいくらでもあります。マイニングについて理解出来た人のために、次からマイニングの種類と方法を見てみましょう。
マイニングで収益を得れる主な種類・手法
マイニングには大まかに『ソロマイニング』『プールマイニング』『クラウドマイニング』の3種類の方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、どれが良いというものはありません。自分に合ったものを選ぶのが利益を上げる近道になります。
ここからは、それら3種類のマイニングを個別に簡単に解説していきます。しっかりとメリット・デメリットを理解して、最適なマイニング方法を選んでください。
ソロマイニング
ソロマイニングとは、個人のパソコンでマイニングをする方法です。ソロマイニングのメリットは、採掘出来たコインを全て自分のものにできること、デメリットはコインを採掘するのに多大なパワーが必要になってくるということです。
ビットコインの高騰に伴い、マイニング人口も増え、とんでもないモンスターマシンが作られてきました。仮想通貨はビットコインだけではないので、他のマイナーな通貨であれば競争相手も少なく、採掘出来る可能性があります。
こうしたところに目を付けるマイナーは多いので、まだまだソロマイニングも活発です。
- ハイスペックのパソコン
- ウォレット
- マイニングソフト(マイナー)
プールマイニング
プールマイニングとは、複数のマイナーが協力してマイニングすることです。マイニング作業を複数人で分けることで他の人が採掘した分も自分に分け与えられるというのがメリット、全員で分けるので1人1人の報酬は少なくなるのがデメリットです。
ソロマイニングで人気の仮想通貨を採掘することが非常に困難であるため、プールマイニングをする人が増えています。マイニングで採掘できるかは完全に運の要素が強いです。ソロマイニングでは何ヶ月も採掘出来ないこともザラにあるので、プールマイニングで収入を平均化しているのです。
パソコンのスペックに関してはソロマイニングほどの高スペックは必要ありません。高ければ高いほど配当も大きくなりますが、ある程度の性能があれば収入を得ることが出来ます。
あとは仮想通貨を管理するウォレットとプールマイニングサイトがあればプールマイニングをすることが出来ます。詳しい解説は記ことの後半に記載しますので、良ければ参考にしてみてください。
クラウドマイニング(おすすめ‼)
マイニングをしている企業に投資をしてマイニングを代行してもらい、マイニング報酬を配当という形で受け取るマイニング方法がクラウドマイニングです。資金を提供するだけでよいので、クラウドマイニングはもっとも気軽にマイニング投資ができる方法といえます。
電気代の高い日本では、事業として成り立つレベルでマイニングをしないのなら、クラウドマイニングが有力な選択肢となります。
メリット |
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デメリット |
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- メールアドレス
- 投資資金
- ビットコインアドレス(取引所のアドレスでもなんでもOK)
マイニングをすることのメリット・デメリット
マイニングの種類によってメリット・デメリットがありますが、ここではマイニング手法に関わらずと一括りにして記載したいと思います。
メリット
- パソコンさえあれば簡単に収入を得られる
- マイニング作業は長期的に行える
マイニングは高スペックのパソコンさえ所持していれば、専用ソフトを起動しておくだけで採掘が進みます。初期費用さえ払ってしまえば、あとは電気代しか掛からないので、継続してまとまったお金の出費もありません。普通に過ごしていれば少なからず利益が出ます(マイニングの種類による)。
やることも採掘の確認とパソコンの軽いメンテナンスだけなので、副業としては非常に優秀です。マイニングしている仮想通貨の価値が上昇し続ければ、それだけで収入の右肩上がりも期待できます。
仮想通貨の性質上、マイニング作業は長期間継続してに行えます。例えば、ビットコインの生産は2140年までとされているので、あと100年以上はマイニングも出来ると考えられます。であれば、せっかく購入したパソコンなどの初期費用を回収する前にマイニングが終了してしまったということ態は回避されるでしょう。
デメリット
- 初期投資が掛かる
- 自作パソコンを組み立てるのに知識がいる
- 報酬が安定しない
- 火災対策が必要
初期投資は必ず通らなければならない道になります。どのマイニングをはじめるかで費用も変わっていきますが、0からパソコンを組み立てるとなると約20万円以上は掛かると思っていいでしょう。特にグラフィックボードは数枚揃えることが前提になってきますので気を付けてください。
グラフィックボードもメーカーによって性能も値段も変わってきます。マイニングする仮想通貨の相性もあるので大まかにしか言えませんが、グラフィックボードだけで20万円にもなることもあります。そういった初期費用を回収するのに1年以上かかることもあると考えると、資金面で余裕がある人向けですね。
パソコンに詳しい人なら組み立ては容易だと思いますが、そうでない人にとってパソコンの組み立ては非常に複雑になっています。ノートパソコンしか使ってなかったことのない人にとっては『こんなにパーツあるんだ!?』とすら思うことでしょう。しかし、マイニングで稼ぐには自作パソコンは必須となります。
また、マイニングで採掘出来る時期には波があり、毎日のように採掘出来ていたのに、あるとき突然数ヶ月もの間採掘出来ないことも珍しくありません。プールマイニングならそれなりの収束が見込めますが、ソロマイニングでは非常に上下すると思ってください。
初期投資に費用を掛けたにも関わらず、まったく回収の目処が立たずに諦めてしまう可能性もあります。電気代だけ消費してほとんど利益が出ないこともあるでしょう。しかも、採掘した仮想通貨の価値が変動すると同時に利益も変動します。マイニングには、長い目で回収していくことが前提になるのでジッと耐えることが大ことです。
最後に、多くのグラフィックボードなどを使用すればそれだけ電力も使うため、排熱設計をしっかりしないと火災の原因にもなりかねません。
マイニングのまとめ
ソロマイニングは、初期投資に投じれる資産に大きな余裕があり、パソコンや仮想通貨に対する知識を豊富に持っている人に向いています。採掘出来たマイニング報酬は独り占め出来るが、採掘出来る可能性は一番低く、ビットコインはほとんど採掘出来ないのが現状です。
プールマイニングは、初期投資が掛かるが、採掘出来る可能性は現状でも充分にあります。しかし、採掘出来たとしてもマイニング報酬は分配されてしまう点や、分配の比率がパソコンのスペックに依存するので安定しない点はデメリットといえます。
クラウドマイニングは、ミドルリスク・ミドルリターンなマイニング方法。高額な初期投資が必要ないので、すぐにでも始めることが出来ます。報酬も確実に入ってくるので、収入0になることはありません。しかし、企業の倒産や通貨の暴落による元本割れ、採掘困難度の変更による報酬の減少などのリスクがあります。初期費用に余裕がない人や初心者にはクラウドマイニングがもっとも向いています。
総じて、マイニングで利益を出すには長いスパンが必要になります。ソロマイニングやプールマイニングでは、掛かった初期投資の回収、クラウドマイニングでは元本の回収までが最初の鬼門になるでしょう。早ければ半年ほどで回収出来るかも知れませんし、通貨の価値が暴落してしまったら何年も掛かることもあります。
まずは、そういったことになる可能性があり、そうなったとしても受け入れることが出来る人がマイニングに挑戦してみてください。結果がまったく出ずに、ものの数ヶ月でやめてしまう飽き性の人、少しの暴落でやめてしまう短気な人には向きません。
仮想通貨熱が上がっている今だからこそ、きちんとした知識を付けて正しいマイニングをして収入を増やしていきましょう。