近年、リスク管理に役立つ投資方法として注目を集めているのが、ある金融商品を定期的に一定額買い付ける「積立投資」です。主に投資信託の買い付けで使われてきた手法ですが、値動きの激しい暗号資産のリスク管理も期待できることから、注目を集めています。
今回は、ビットコインで積立投資をおすすめする理由と、積立投資のメリット・デメリット、実際のやり方を見てみましょう。
目次
ビットコインでも積立投資をおすすめする理由
ビットコインでも積立投資は誰でも利用できますが、特に初心者におすすめしたいサービスです。積立投資をおすすめする最大の理由は、ドルコスト平均法が自動的に達成されることです。
毎月一定額を買い付ける「ドルコスト平均法」
ドルコスト平均法とは、対象の金融商品を毎月一定額買い付け・積み立てる投資方法です。毎月同じ金額で買い付けをするので、値下がりしているときは多く買い、値上がりしているときは少なく買うという特徴があります。
ドルコスト平均法を続けていると、高値掴みを防げるだけではなく、わずかな値上がりでも利益が出やすいというメリットがあります。
積立投資のメリット・デメリット
積立投資のにはいくつかのメリット・デメリットがあります。それぞれどのようなものがあるのかを見てみましょう。
メリット
- ドルコスト平均法によって平均単価を下げられる
- 少ない初期費用で始められる
- 相場を予測したいという誘惑がなくなる
- 投資にかかる時間を節約できる+精神的に追い込まれづらい
ドルコスト平均法によって平均単価を下げられる
1月1日に投資をはじめて、1BTC=100万円だとします。そして、価格が以下のように変動したとします。
1月1日 | 1月2日 | 1月3日 | 1月4日 | 1月5日 | 1月6日 | 1月7日 |
---|---|---|---|---|---|---|
100万円 | 120万円 | 80万円 | 70万円 | 110万円 | 90万円 | 100万円 |
このように価格が変動する環境下でドルコスト平均法をすると、最初に一括投資した場合や毎日一定の量だけビットコインを買い増した場合と比べて、平均単価にどれくらい差が出るのかを比べてみましょう。
最初に一括投資したケースを想定すると、1月1日時点での金額、つまり1BTC=100万円がそのまま平均単価になります。
毎日一定量を買い増すと、購入合計金額は『100万円+120万円+80万円+130万円+70万円+90万円+100万=690万円』となります。購入合計量は7BTCなので、平均購入単価は690万円÷7BTC≒98.6万円となります。
ドルコスト平均法で毎日100万円分ずつ買い増したとすると、購入合計量は『1BTC+0.833BTC+1.25BTC+1.428BTC+0.909BTC+1.111BTC+1BTC=7.531BTC』となります。購入合計金額は700万円なので、平均購入単価は700万円÷7.531BTC=92.9万円となります。ドルコスト平均法を実施した時が、一番平均購入単価が安くなっていることがわかります。
ドルコスト平均法だけで、どうしてここまで平均購入単価を下げられるのでしょうか。理由は簡単で、例えば上記の例では、最も高い1月2日には0.833BTCしか買えていませんが、最も安い1月4日には1.428BTCも買えています。安いときにたくさん買えば、平均購入単価が下がるのは当然です。
ドルコスト平均法を続けていれば、暴落は怖くありません。むしろ大量に安く買い込むチャンスと言えます。
少額からでもはじめられる
ビットコインの積立投資は、少ない費用で始められます。通常、一括投資をするとなるとある程度まとまった費用が必要になりますが、積立投資は月1000円からでも問題なく始められます。
毎月の拠出額が少なくなればそれだけ得られる利益も少なくなりますが、そのかわり大きな損失を出すこともなくなります。自身の資金の余裕やリスク許容度に応じて自由に拠出額を決められるのも、大きなメリットと言えます。
相場予測の誘惑がなくなる
暗号資産に限らず、相場を予測したいという願望はあまりいい方向に働かないことが多いです。実際に相場を当てることは極めて困難で、まず当たらないからです。底値で買って天井値で売れたらそれは気持ちいいでしょうが、実際にそれができることはまずないでしょう。人間の判断にはどうしても感情が混じりますし、その環状は判断を鈍らせます。出来ないことはしようとせずに、ドルコスト平均法を用いて機械的に平均購入単価を下げたほうが、いい結果が出ることが多いです。
投資にかける時間を節約できる
積立投資なら指定日に銀行口座からお金が引き落とされて、自動的に買い付けされる仕組みであるため、投資家がしなければならないことは殆どありません。投資に時間を取られないのは、本業を別に持つ人にとっては特に大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット
- 場合によっては一括投資よりも損することもある
- 運用手数料が高い
場合によっては一括投資よりも損することもある
積立投資の最大のデメリットは、相場の動向によっては一括投資以下のパフォーマンスしか叩き出せなくなることです。一括投資以下のパフォーマンスしか出せなくなる相場とは、具体的には以下のような相場を指します。
- 一貫して上昇する相場
- 一旦上昇したあと、当初の水準まで下落する相場
このような相場では、最初に一括投資をしたほうが平均購入単価を下げられます。しかし、それは単なる結果論です。実際に相場が将来どうなるかは、実際に時間が経過してみなければわかりません。相場が読めないからこそ積立投資で買う時を分散しているのであり、このようなことを考えるのがそもそも間違いです。
また、これまでのビットコイン相場を長期的な観点から見た場合、上記のような動きはしていません。全体としては右肩上がりなので②には該当しませんし、暴落も度々経験しているので①にも当てはまりません。急騰や暴落を繰り返しながら全体的には右肩上がりに成長していくという相場は、積立投資との相性がぴったりです。
運用手数料が高い
ビットコイン積立投資にかかる手数料は、通常の取引のそれと比べて極めて高いです。たとえば、Zaifが行っているZaifコイン積立の手数料は以下のようになっています。
積立金額 | 手数料 |
---|---|
1千円~2千円 | 一律100円 |
3千円~9千円 | 3.5% |
1万円~2万9千円 | 2.5% |
3万円~4万9千円 | 2.0% |
5万円以上 | 1.5% |
Zaifでビットコインを現物取引した時の手数料は-0.01%ですので、積立手数料はかなり高いことがわかります。
ただ、この手数料はいわば、投資を自動化するための手数料です。これを安いと見るか高いと見るかはその人次第ですが、個人的にはそれほど高いものだとは思いません。例えば毎月3万円積み立てる場合の手数料は3万円×2.0%=600円ですが、これで投資にかかる手間をなくし、ストレスも減らせるのならば安い買い物だと思います。
ビットコインの積立投資の仕組みと特徴
毎月、口座引き落としにて支払い
ビットコイン積立投資の原資は、毎月自動的に予め設定しておいた銀行口座から引き落とされます。一度口座を設定してしまえば、投資家は他に何もする必要はありません。
積み立て金額を自由に決められる
ビットコインの積立投資では、毎月の積立金額は自由に決められます。積立金額が増えるほど取引手数料は割安になりますが、積立金額を増やすことはリスクを増加させることにも繋がるので、安易に増やすのは避けましょう。
また、積立金額はいつでも増やしたり減らしたりできます。
積立投資ができる暗号資産取引所
現状、ビットコインの積立投資ができる仮想通貨取引所はZaifのみです。Zaifは割安な手数料が特徴の仮想通貨取引所で、近年は数少ないNEMが買える仮想通貨取引所としても注目を集めています。
基本的な仕組み
毎月9日~10日に翌月分の積立申し込み、及び積立金額を締め切ります。同月27日に設定した金額が銀行口座から引き落とされ、翌月10日~翌々月9日にかけて毎月自動的に買い付けが行われます。翌月以降の積立額やその配分を変更したい場合は、その月の9~10日までに変更する必要があります。支払手段は銀行引き落としのみで、クレジットカード払いは出来ません。
積立金額
最低額は1000円で、以降1000円単位で最大100万円までの設定が可能です。
手数料
積立金額 | 手数料 |
---|---|
1千円~2千円 | 一律100円 |
3千円~9千円 | 3.5% |
1万円~2万9千円 | 2.5% |
3万円~4万9千円 | 2.0% |
5万円以上 | 1.5% |
取扱通貨
- ビットコイン
- イーサリアム
- モナコイン
- NEM
例えば毎月4000円ずつ拠出する場合、ビットコインに4000円投資することも出来ますし、すべての通貨に1000円ずつ投資することも出来ます。
まとめ
ビットコインの積立投資は、極力リスクを減らしながらビットコインを買い増すことができる魅力的な投資手法です。いきなり一括購入するのが怖いという方は、まずは積立投資から始めてみてはいかがでしょうか。