目次
ビットコインの概要
通貨名称 | BTC |
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最大発行数 | 2100万枚 |
時価総額 | 17兆1760億円 |
公開日 | 2009年1月3日 |
公式サイト | https://bitcoin.org/ja/ |
ホワイトペーパー | https://bitcoin.org/bitcoin.pdf |
ビットコインの特徴や仕組み
ビットコインは中央銀行や政府のような単一の管理者を持たない、分散型デジタル通貨です。その成り立ちから仲介者を必要とせず、ピア・トゥ・ピア(P2P)でユーザー間で送受信をすることで取引が成立します。取引内容はネットワークノードで検証されて、すべての取引履歴はブロックチェーンと呼ばれる台帳に分散的に記録されます。
ビットコインの特徴として、発行枚数や発行ペースなどが予め決められているため、裁量的な金融政策によるインフレリスクがないことや、デジタル世界の単一通貨であり、国際送金時の両替が不要なことがあげられます。
ビットコイン誕生から現在に至るまでの年表
年月 | 内容 |
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2008年10月31日 | ナカモトサトシがビットコインの論文を発表する |
2009年1月3日 | ビットコインの最初のブロックが誕生 |
2009年1月12日 | 世界初のビットコインの送金が行われる |
2009年10月12日 | 世界初のビットコインと法定通貨の交換が行われる |
2010年5月22日 | 世界初のビットコイン決済が行われる |
2010年7月18日 | ビットコイン取引所「マウント・ゴックス」がサービス開始 |
2011年1月28日 | 総発行量の25%(525万枚)が発行される |
2011年4月16日 | アメリカのTIME誌でビットコインが取り上げられる |
2011年6月19日 | マウント・ゴックスがハッキング被害に遭う |
2012年11月28日 | はじめての半減期が到来し、新規発行枚数が25BTCになる |
2013年3月16日 | キプロス金融危機によりユーロが下落、資金がビットコインに流れ価格が大幅に上昇 |
2013年3月19日 | 世界初のビットコインATMがアメリカ・カリフォルニア州に設置される |
2013年12月4日 | NHKでビットコイン特集が放送される |
2013年12月5日 | 中国政府が金融機関のビットコイン取引を禁止 |
2014年2月24日 | マウント・ゴックスがハッキングに会い、サービスを閉鎖する |
2014年6月13日 | マイニングプール「GHash.io」のハッシュレートが50%を超える。GHash.ioはハッシュレートを40%以下にするという自主規制を発表 |
2014年12月11日 | マイクロソフトがアメリカ居住者を対象にビットコイン決済を開始 |
2015年11月3日 | ビットコインのマーク「₿」がUnicodeに受け入れられる |
2016年3月1日 | DMM.comがビットコイン決済を開始 |
2016年4月27日 | Steamがビットコイン決済を開始 |
2016年5月2日 | オーストラリア人投資家Craig wrightが「自分がナカモトサトシである」と主張。真偽は不明。 |
2016年7月10日 | 2回目の半減期が到来。新規発行枚数が12.5枚になる |
2016年8月2日 | 仮想通貨取引所「Bitfinex」が約12万BTCのハッキング被害に遭う |
2017年1月10日 | 死亡説が囁かれていたWikileaks創始者Julian Assangeがビットコインの最新ハッシュを読み上げ、自身の生存を証明する |
2017年8月1日 | ビットコインがハードフォーク。ビットコインキャッシュが誕生 |
2017年9月8日 | DMM.comがマイニング事業に参入 |
2017年9月23日 | ビットコイン⇔ライトコインのアトミックスワップに成功 |
2017年9月28日 | 金融庁が仮想通貨交換業者11社を登録 |
2017年11月26日 | 1BTC=100万円を突破 |
ビットコインの技術的特徴
世界初の暗号資産として開発されたビットコインは、数々の暗号資産で導入されている各種技術が採用されています。
取引記録を保管・管理する「ブロックチェーン」
ブロックチェーンとは、ある時点までの取引がすべて記載されている電子的な台帳です。ブロックチェーンは世界中に存在する多数のコンピュータに分散保存されているため、一部のコンピュータがネットワークから離脱しても台帳の健全性は問題なく保たれます。
ブロックチェーンを構成するブロックは、概ね10分に1個程度のペースで生成される電子的な箱で、その中に多数の個別取引(トランザクション)が格納されます。新しく生成されたブロックは直近のブロックに接続されるため、時間が経つごとにどんどん長くなっていきます。
ブロックチェーンの詳細は「ブロックチェーンとは?」で詳しく解説しているので、そちらを参照してください。
ブロックチェーンの健全性を担保する「マイニング」
マイニングとは、ビットコインのブロックを新しく生成してブロックチェーンに接続することです。マイニングをする人達をマイナーと呼び、ブロックチェーンの健全性は、マイナーが適切なブロックを生成することで保たれています。
マイニングの作業内容は「高度な計算を繰り返し解いて、いち早く正しい答えを見つける」というものであり、計算能力に優れたコンピュータとそれを動かす電気が必要になります。マイニングは慈善活動家ではないため、見返りがなければマイニングをする動機はありません。ビットコインには「マイニングに成功した人には新規発行分+ユーザーの使った取引手数料が支払われる」という仕組みがあり、これがマイニングのインセンティブとなります。
価値を一定に保つ「半減期」
半減期とは、マイニングで算出される暗号資産の量が一定期間ごとに一定の割合で減らすことで価値を保つ仕組みです。半減期が設定されている仮想通貨は、設定当初は流通量が急速に増えていきますが、次第にそのペースが鈍化して、最終的に供給がなくなり市場で流通しているものに限られるため、流通量はつねに一定になります。
初期段階で流通量が急速に拡大すれば、その暗号資産の知名度向上だけではなく、より普及が早まることが期待できます。半減期が来て流通量の伸びが鈍化すれば、需要の伸びが供給の伸びを上回ることで、価格上昇につながりやすくなります。
ビットコインの総発行枚数は2100万枚で、2140年頃に発行が終わるように設定されていますが、発行ペースは一定ではありません。2009年1月の誕生からしばらくは50BTC/ブロックでしたが、初回半減期の後は25BTC/ブロックに、2回目の半減期(2016年7月10日)に12.5BTC/ブロックになりました。次の半減期は2020年に来る見通しです。
ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨には半減期が設定されていますが、最近では半減期の設定がない暗号資産も登場しています。
送受信に欠かせない「アドレス」
暗号資産の送金には、相手の送金用アドレスに対して送金することで完了します。送金用アドレスは、暗号資産ごとのウォレットの作成もしくは仮想通貨取引所でのアカウント作成で入手できます。
ビットコインを含む暗号資産の送金と受け取りは、全てブロックチェーンに記録されます。その中身は誰でも閲覧できますが、ビットコインアドレスは単なる文字列であり、アドレスを入手してもそこから個人情報を割り出すことは不可能ですが、アドレスと個人情報が紐づけられると、取引内容がつまびらかになってしまいます。
ビットコインのメリット・デメリット
ではここで、ビットコインのメリット・デメリットをまとめてみましょう。
メリット |
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デメリット |
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ビットコインと日本円は何が違う?
法定通貨とビットコインの違いを見てみましたが、日本で流通している日本円とビットコインには、どのような違いがあるのでしょうか。
ビットコイン | 日本円 | |
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実体 | ない | ある |
発行元 | 不特定多数のマイナー | 日本政府 |
発行量上限 | ある | ない |
価値 | 需要と供給だけで決まる | 需要と供給、金融政策で決まる |
用途 | 多岐にわたる | 国内決済がメイン |
取引所 | 仮想通貨取引所 | 銀行 |
実体
ビットコインと日本円の最大の違いは、実体の有無です。ビットコインは電子データであり実体がないデジタル通貨ですが、日本円には実体としての貨幣が存在します。
実体がない通貨と聞くと電子マネーやポイントなどを連想しますが、ビットコインは電子マネーやポイントのような円建て資産ではないので、中央銀行の金融政策に左右されるわけでもありません。
発行元と発行量
中央銀行の金融政策に影響されないことは、価値の裏付けがないことでもあり、日本円と比べると、信用という点ではどうしても劣ります。ただし、法定通貨自体に信用がない国では、ビットコインのほうが信用されることもありえます。ハイパーインフレで法定通貨の価値が暴落しているベネズエラは、その実例と言えるでしょう。
一方で裁量的な金融政策の対象にならないので、インフレリスクもありません。法定通貨は発行量の上限がないので、発行量が増えすぎることによる価値の暴落が起きる可能性を否定できません。実際に過剰な通貨発行によるインフレが起きた例はいくつか知られています。
取引所
基本的にビットコインは仮想通貨取引所で取引します。仮想通貨取引所は銀行と違い歴史が短く、顧客保護のための法整備も十分に進められているとは言えません。例えば銀行の場合はそこが倒産しても預金が1000万円までは保証されるペイオフ制度がありますが、仮想通貨取引所にはそのような制度はありません。ハッキングなどのリスクも仮想通貨取引所のほうが遥かに高いため、資産の管理は基本的に自分で行うことをおすすめします。
暗号資産の基軸通貨となりつつあるビットコイン
暗号資産の先駆けとして誕生したビットコインは、事実上の暗号資産の基軸通貨としての地位を占めています。
取引の中心軸となる「基軸通貨」
基軸通貨について、もう少し深堀りしてみましょう。具体的に言えば、広く流通していて、取引や両替などで主導的に使われる通貨を指します。
基軸通貨はその時々の情勢や国際関係により移り変わり、19世紀から第二次世界大戦までは英ポンド、第二次世界大戦後から現在に至るまで米ドルが基軸通貨の地位を占めています。法定通貨同士の取引で米ドルが広く使われているように、仮想通貨の取引でもビットコインが広く使われています。
ビットコインとアルトコインの関係性
ビットコインとアルトコインは、連動して動くことが珍しくありません。現時点では投機的な側面が大きい仮想通貨では、基軸通貨的な役割を果たしているビットコインの値動きにアルトコインの価格が左右される傾向が強まっています。
ビットコインが基軸通貨から外れる可能性
仮想通貨で事実上の基軸通貨の地位を占めているビットコインですが、将来的に基軸通貨の地位を追われる可能性は十分にあります。かつての基軸通貨だった英ポンドは第二次世界大戦後には米ドルにその座を明け渡しています。同様に、ビットコインが基軸通貨の地位を追われる可能性は否定できません。
実際にビットコインはかつてのような支配的な地位から徐々に滑り落ちているという証拠もあります。仮想通貨全体に対する特定の仮想通貨の時価総額の割合を示す「ドミナンス」は、ビットコインはかつて90%を超えていましたが、最近は40%を下回ることも珍しくありません。こうした流れが進めば、暗号資産の基軸通貨も「世代交代」するかもしれません。
まとめ
暗号資産のパイオニアとして知られるビットコインは、技術的にも市場シェア的にも主導的な役割を果たしています。ビットコインの動向を知ることで、暗号資産全体の大まかな方向性を知ることにもつながります。