2017年12月に史上初めて1BTC=200万円の大台を突破したビットコイン。しかし、その後価格は停滞し、2018年1月16日以降は急落に転じました。
2018年4月中旬ごろから再び緩やかな上昇に転じてはいますが、2014年4月20日時点での価格は1BTC=88万円と、絶頂期と比べると半分以下の価格になってしまっています。
今回の記事ではビットコインがなぜこんなにも急落してしまったのか、そして今後爆上げが起こるとしたらその材料は何になるのかを解説いたします。
目次
1月からビットコインが暴落している理由
今回のビットコインの暴落は様々な原因が絡み合ったことによって起こりました。細かい原因まで上げるとキリがありませんので、ここでは特に大きな原因をいくつか取り上げます。
2018年1月~4月 | バブルに対する警戒感の高まり |
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2018年1月下旬 | コインチェックでNEM大量流出 |
2018年1月~ | 各国での規制強化 |
2018年3月上旬 | マウント・ゴックス社の売り |
2018年3月上旬 | G20開催 |
2018年3月~4月 | 確定申告に向けた利確ラッシュ |
バブルに対する警戒感の高まり
2017年10月上旬に1BTC=50万円前後だったビットコインの価格は、2017年1月上旬には1BTC=200万円にまで上昇しました。わずか2ヶ月で4倍、年利に治すと409600%(4096倍)という凄まじい暴騰です。一瞬ではありますが、1BTC=230万円の価格をつけたこともありました。
それだけビットコイン、あるいは仮想通貨という技術が期待されているということでもあるのですが、一方であまりにも急激な価格の上昇はバブルに対する警戒感を生むことにも繋がりました。バブルに対する警戒感は売りを招き、それが最初の暴落につながったものと思われます。
なお、ビットコインの世界ではこのような暴落は度々起きており、何ら特別なことではありません。2011年6月~11月にかけては94%の暴落も起きています。
コインチェックでNEM大量流出
2018年1月26日、日本の大手仮想通貨取引所であるコインチェックから大量のNEM(XEM)が流出したことが明らかになりました。これに伴い、ビットコインを始めとするほぼすべての主要な仮想通貨が下落しました(中でもNEMは特に大幅に値を下げました)。
コインチェックからNEMが流出した直接の原因はコインチェックのセキュリティに大きな不備があったことであり、NEMやビットコインのせいではありません。しかし、この事件が大きく報道されたことに伴い、仮想通貨取引所に対する信頼、ひいては仮想通貨に対する信頼は大きく揺らぎました。
自分で管理するのは面倒、かといって仮想通貨取引所に預けておくと危険な仮想通貨を保有するのは手間だと考える人達が売りに走ったため、ビットコインを筆頭に仮想通貨の価格は急落しました。
各国での規制強化
2018年に入ってから、仮想通貨に対する各国の規制は急速に強まっています。日本は比較的規制が弱く、自由な取引が行える環境が整えられていましたが、2018年以降は金融庁による仮想通貨取引所に対する業務改善・停止命令が行われています。米国は州によって規制の内容は異なりますが、ニューヨーク州などでは特に強い規制がかけられています。
中国は更に厳しく、中国国内でのマイニングなどにも制限がかけられており、仮想通貨関連企業は規制の少ない台湾や欧州、日本などに流出したようです。
規制が強化されることは必ずしも悪いことではありません(投資家の保護につながる面も大いにあるからです)が、これまでの自由度の高さが失われてしまうことを懸念する投資家も多く、それが売りを促すことになりました。
マウント・ゴックス社の売り
2018年3月7日頃から、ビットコインが一時的に大きく下落しました。マウント・ゴックス社の破産管財人が管理するウォレットから大量のビットコインが取引所に送られ、そこから売りに出されたためです。
マウント・ゴックス社は2014年に倒産した仮想通貨取引所です。もともとは世界有数の大手取引所でしたが、当時の時価総額で100億円以上のビットコインが流出したことが原因で経営が大きく傾き、破産に至りました。
しかし、盗まれずに残ったビットコイン及びビットコインキャッシュは当時と比べて大幅に価格が上昇していたことから、破産管財人側はそれらを売却して債務の支払いに当てたようです。まだすべてのビットコイン及びビットコインキャッシュが売られたわけではなく、今後も引き続き売られる可能性が高いことから、しばらくは暴落に警戒したほうが良さそうです。最も、破産管財人も愚かではないので、一気に売って相場を暴落させ、自分の売却益を減らすようなことはしないかと思いますが……。
G20開催
G20は先進国(G7)やロシア、新興国などが加わった20カ国からなるグループです。3月20日~3月21日にかけてG20の財務大臣・中央銀行総裁による会議が行われる予定があり、その際に仮想通貨に対する大幅な規制が行われるのではないかという疑念から、一時的に仮想通貨の価格全体の価格が大きく下落しました。
最終的には「現状では市場が小さく、影響力も限定的なので規制はまだ必要ない」という見解が示されましたが、規制を後回しにしたとも考えられます。
確定申告に向けた利確ラッシュ
2018年は日本では3月15日が、アメリカでは4月17日が確定申告の締切日でした。確定申告とはその都市の納税額を計算して税務署に報告する手続きのことです。納税には法定通貨が必要なため、2017年に仮想通貨で大きな利益を得た投資家はビットコインを売却して法定通貨を準備したようです。
実現すればビットコインが爆上げする期待の材料
ここまではビットコインが下落した原因についてお話してきましたが、一方でビットコインには値上がり材料も少なくありません。代表的なものをいくつか紹介します。
ライトニング・ネットワークの実装
ライトニング・ネットワークとは、ビットコインへの搭載が検討されている技術です。
ライトニング・ネットワークの主な目的は2つ。1つ目はスケーラビリティ問題(送金詰まりとそれに伴う送金手数料の高騰)を解決すること、2つ目はマイクロペイメント(概ね1円以下の小額決済)をより容易行えるようにすることです。
ライトニング・ネットワークとは、ブロックチェーンの外(オフチェーン)上に構築される支払いネットワークです。ライトニング・ネットワークを使用すると、直接結びついていないネットワーク参加者同士での送金が可能になります。
例えば、AさんとBさんが結びついていて、BさんとCさんも結びついているが、AさんとCさんが結びついていない場合について考えます。この状況でAさんがCさんに送金する場合、Bさんを中継者として使用します。この方法だと一見Bさんに持ち逃げされるリスクが有るように見えますが、HTLCという技術を用いてそれを防いでいます。
ライトニング・ネットワークが採用されれば、ブロックチェーン上で管理するトランザクションは大幅に減るので、その分ブロックの容量に余裕が生まれ、送金詰まりは極めて起こりづらくなり、スケーラビリティ問題は解決に向かいます。また、送金手数料も低下するため、マイクロペイメントも現実的なものになります。
ライトニングネットワークの詳細は「ライトニングネットワークとは?」で詳しくまとめています。
マネックス証券によるコインチェックの営業再開
前述のNEM流出事件を起こしたコインチェックは、インターネット証券会社のマネックス証券の完全子会社になることが決まりました。コインチェックのブランドは継続する見通しです。すでに証券会社として十分な実績があるマネックスグループの傘下に収まったことで、今後はより強力なセキュリティの提供が期待されます。
コインチェックの通貨売買が再開されることで、新しい資金の流入が起こり、ビットコインの価格が上がっていくことは大きく期待されています。
米国で仮想通貨ETFの開始
仮想通貨ETFとは、仮想通貨が投資の対象に含まれる上場投資信託のことです。通常、仮想通貨を購入する際には仮想通貨取引所で取引を行いますが、仮想通貨ETFは株式と同じように証券会社を通じて取引を行います。
仮想通貨ETFが開始すれば、今までビットコインへの参入を見送っていた機関投資家の資金が入る可能性が高いです。機関投資家は安定した利益を上げるために、仮想通貨のような公認取引所がないものには投資してはいけないという決まりがあったのですが、仮想通貨ETFが始まればそのような心配はなくなります。
これまで仮想通貨ETFは米証券取引委員会の手によって何度が上場が妨げられてきました。しかし、2018年3月下旬にはシカゴオプション取引所が米証券取引委員会に仮想通貨ETFの市場参入を妨げるべきではないとの書簡を送るなど、依然として上々に向けた動きは活発に行われています。
政情不安
仮想通貨は決済手段であると同時に通貨でもあります。
法定通貨が信頼できない国では、法定通貨よりも仮想通貨のほうがよく決済に使われています。例えば、法定通貨の信頼下落に伴うハイパーインフレに苦しむベネズエラでは、ビットコインが通貨として頻繁に使われています。仮想通貨が法定通貨に取って代わったわけです。
政情不安が起きれば起きるほど、仮想通貨の需要は高まり、それに伴って価値も高まります。仮想通貨の価値の上昇のために政情不安が起こるのを期待するのは現実的ではありませんが、とりあえずこの関係性は覚えておいたほうがいいでしょう。