ビットコインと何が違う?匿名通貨の仕組みや問題点を詳しく解説

匿名通貨やBTCとの違いを解説

数ある仮想通貨の中でも、仮想通貨と比べて高い匿名性が設定されている仮想通貨を「匿名通貨」と呼びます。
匿名通貨の匿名性はユーザーにとってはメリットが大きい半面、マネーロンダリングや違法売買などに使われる懸念もあり、規制強化の対象になりやすい一面もあります。今回は、匿名通貨の性能や仕組みなどを解説いたします。

匿名通貨とは

匿名通貨とは、通常の仮想通貨と比べて高い匿名性を確保している仮想通貨です。
ビットコイン(BTC)やビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)などの取引記録はブロックチェーンに記録されているだけではなく、誰でも自由に参照できます。取引に必要なアドレスに個人情報までは記録されていませんが、アドレスと個人情報が結びつくと、それまでの送金記録が流出してしまうわけです。

匿名通貨はこの点を見直して、アドレスや送金額などのデータの一部もしくは大半を外部からは参照できない状態にすることで高い匿名性を確保しています。

代表的な匿名通貨

名称 時価総額 特徴
DASH(ダッシュ) 4163億円(13位) ダークセンドという手法を採用しています。これは複数の送金者の送金したDASHを一度プールして、よく混ぜてから送るというもので、誰が誰に送金したかを隠します。
Monero(モネロ) 4215億円(12位) リング署名という手法を採用しています。公開鍵を束ねて署名することによって、送金者と送金額の両方を秘匿化します。
Zcash(ジーキャッシュ) 1199億円(25位) ゼロ知識証明という手法を採用しています。第三者からは何が起きているか一切認知できず、匿名性という観点から見れば最強です。
Verge(バージ) 1316億円(23位) TorとI2Pという手法を採用しています。通信をすべて匿名にして、なおかつ複数ノードを経由することによって、誰が誰に送金したかを隠します。

匿名通貨の仕組み

匿名通貨が採用する技術は上の表でも軽く説明いたしましたが、ここからはより詳しく説明します。

ダークセンドを導入している「DASH」

DASHは一時期は仮想通貨の時価総額ランキングで6位につけたこともある、比較的古い仮想通貨です。かつてはDarkcoinという名称でしたが、2015年に改称(リブランディング)されました。

DASHは複数の送金者が支払ったDASHをすべて1度プールし、十分にかき混ぜてから受取人のもとに送金する仕組み(ダークセンド)で匿名性を確保しています。ダークセンドを導入することで、誰が誰に向けて送金したかは外部からはわかりません。ただし、誰がいくら送金して誰がいくら受け取ったかは分かるので、匿名通貨の中では匿名性は比較的低いです。

リング署名を採用した「Monero」

Moneroは、DASHよりもさらに高い匿名性を持つ匿名通貨であり、その匿名性を支えるのは、複数名の公開鍵を束ねて利用することによって、送金者を特定しづらくする「リング署名」という技術です。送金には毎回変わるワンタイムアドレスが発行されるため、送金履歴を追われる心配がありません。

ゼロ知識証明で匿名性を追求している「Zcash」

Moneroよりもさらに高い匿名性を持つ匿名通貨がZcashであり、その匿名性を支えているのは、「ある事実を知っている」ことを「ある事実を知っていると主張すること」だけで証明する「ゼロ知識証明」という技術です。送金アドレスや送金履歴、送金金額のすべてを匿名化できる、現時点ではおそらく最高峰の匿名性を提供している匿名通貨です。

ベーシックなTorとI2Pで匿名性を確保する「Verge」

Vergeは2017年の1年間だけで時価総額が約1900倍になった匿名通貨です。TorとI2Pという手法をで匿名性を確保しています。Torはユーザーのプライバシーを保護するためのソフト、I2Pは通信の始点と終点を暗号化することで通信内容を秘匿するソフトです。

匿名通貨の問題点

匿名通貨は送金者と受取人双方のプライバシーを守れるという点で優秀ですが、一方でいくつかの問題点もあります。

犯罪収益の移転に悪用されるリスク

匿名通貨の最大の問題点は、その匿名性に由来して犯罪行為で得た収益の洗浄に使われる可能性があることです。例えばマネーロンダリングや脱税と匿名通貨の相性が極めてよく、規制当局は匿名通貨への規制を強め始めています。

取引所での取り扱いが終了する可能性が高い

マネックスグループに買収されたコインチェックは、DASHやMonero、Zcashを取り扱っていましたが、GOX後にサービスを再開してから取り扱いを終了する見通しです。この傾向は海外でも同様であり、取引所での取引する流れは当面止まりそうにありません。

匿名性と利便性のバランスを考えながら取引する

匿名通貨は取引の匿名性を確保できるという大きなメリットがある反面、取引所での取り扱いが徐々に縮小傾向にあり、利便性という面で不利になりつつあります。匿名通貨の取引を考えるなら、匿名性と利便性のバランスを考えることが欠かせません。

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