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GNT(ゴーレム)の概要
通貨名称 | GNT(Golem) |
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最大発行数 | 10億枚 |
公開日 | 2016年11月 |
公式サイト | https://golem.network/ |
ホワイトペーパー | https://golem.network/crowdfunding/Golemwhitepaper.pdf |
GNTの特徴や目指しているもの
GNT(ゴーレム)は、P2Pネットワークでコンピュータを相互接続し、余っている計算能力を貸し借りするプラットフォーム「Golem」上で使用される仮想通貨です。計算能力が余っているユーザーは、計算能力が足りていないユーザーに対して計算能力を貸し出し、見返りとして報酬を受け取ります。個人のコンピュータでも比較的安価にスーパーコンピュータ並の計算能力を実現できることから、注目されています。
CPUって何?
我々が普段何気なく使っているコンピュータ(≒パソコン)の計算能力を決める最大の要因はCPUという装置です。CPUはパソコンの頭脳とも言える部分であり、インテル社やAMD社が世界的なメーカーとして知られています。
CPUの計算能力を示す指標にクロック周波数やフロップスがあります。フロップスは1秒間あたりの計算回数(浮動小数点演算の回数)を示すものです。例えば、インテル社のCore-i7 Sandy Bridgeの場合、フロップスは158.4G(ギガ)FLOPSです。G=10の9乗なので、概ね1.584×11乗回の計算ができることになります。
スーパーコンピュータは突き詰めれば、このフロップスを極めて高くしたコンピュータと言えます。国産スーパーコンピュータの最高峰である「京」のフロップスは1P(ペタ)FLOPS、つまり10の16乗です。
スーパーコンピュータはこのような計算能力を実現するためにCPU同士を大量に連結させています。1つ1つのCPUの計算能力には限界がありますが、京はCPUを8万個以上接続することによって極めて高い計算能力を実現しています(もちろん、CPU単体で見ても世界トップクラスに優秀ですが)。
個人のコンピュータの計算能力は余っている
CPUは技術革新によってその性能が向上する一方で、価格は下がってきています。個人向けでは上位クラスであり、動画編集やオンラインゲームにも適したCore i7が搭載されたデスクトップパソコンも、BPOならば10万円強で変えるようになりました(もちろん、価格はCPU以外の構成によって左右されますが)。
高性能なCPUが世の中に広く普及するに伴って、多くの個人は計算能力を余らすようになりました。
例えば、前述のCore i7は動画編集や一部オンラインゲームなどの比較的高付加な作業向けのCPUですが、Core i7ユーザーいえども常に高負荷な作業をしているわけではありません。動画視聴や文書作成、インターネットサーフィンなど、低負荷な作業をすることもままあるでしょう。その時間、Core i7ユーザーは計算能力を余らせていることになります。こうした余った計算能力を個々人同士で融通しあうためのネットワークがGolemです。
Golemの仕組み
Golemはいわば計算能力のシェアリングエコノミーです。シェアリングエコノミーとは簡単に言えば、使われていない資産やリソースなどをユーザー同士で直接融通しあう仕組みのことです。Airbnb(民泊)やUber(配車)がその代表格です。
計算能力のシェアリングエコノミーはすでにGoogleやAmazonなどの大企業が行っていますが、Golemではこれが個人レベルでできるようになります。
Golem上では、ユーザーは「プロバイダ」と「リクエスター」に分類されます。
プロバイダは余っている計算能力を貸し出し、その見返りとして報酬を受け取る人です。リクエスターは、その計算能力を借り受け、その見返りとして報酬を支払う人です。支払いにはGNTを利用します。
貸し借りする計算能力が大きければ大きいほど支払われるGNTの金額も高くなるため、より多くの計算能力を余らせているプロバイダほど多額の報酬を得られます。リクエスターはスーパーコンピュータ並みの計算能力を借りることもできますし、ちょっとだけ計算能力を借りて重いパソコンを早く動かすこともできます。
マッチングと評価システム
リクエスターはGolem上で「計算能力を借りたい」というリクエストを出します。それを受けてGolemは、そのリクエスターのリクエストの内容(求めている計算能力の量、価格など)をもとに、最適なプロバイダを紹介します。マッチング後、計算用のファイルがプロバイダに送信され、計算後にリクエスター側に計算結果が返されます。結果が確認プロセスに合格すれば、プロバイダは報酬を受け取ります。
この流れの中で不正行為を行ったユーザーには悪い評判が与えられ、次回以降のマッチングで不利益を被ることになります。不正行為を行う事によるデメリットが大きいため、ユーザーは安心して取引相手を探せます。
Golemではアプリも公開できる
開発者はGolem上で計算用のソフトウェアを公開できます。リクエスターは計算のためにそのソフトウェアを利用し、開発者はその見返りとして使用料を受け取ります。ただ、誰でも完全に自由にソフトウェアを公開できてしまうと、悪意のあるソフトウェアが紛れ込む可能性があるため、事前に審査が行われます。
審査を行うのはバリデーターとプロバイダです。プロバイダは信頼できそうなバリデーターに対して、自身が使いたいソフトウェアの審査を依頼します。バリデーターは安心して使えるソフトウェアを自身のホワイトリストに登録します。逆に危険なソフトウェアはブラックリストに登録します。複数のバリデーターの行なった審査をもとに、ソフトウェアの公開(あるいは非公開)が行われます。
Golemの開発状況
Golemの開発は以下の4段階で行われる予定です。
Brass Golem | CGIレンダリングで使えるかの確認。αテストの段階 |
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Clay Golem | Task APIとApplication Registryを導入し、より汎用的なものにする |
Stone Golem | セキュリティを向上させ、Clay Golemで追加された機能を強化する |
Iron Gorem | 開発者に自由を与え、ソフトウェア開発のためのツールを紹介する |
2018年6月時点ではBrass Golemの段階であり、すべての開発が終了するまでにはまだかなりの時間がかかりそうです。
筆者が考えるGNTの今後の将来性
将来有望だとは思いますが、一方でかなり時間がかかるプロジェクトにも思えます。開発状況で具体的な年月が指定されていないのも難点です。Golemは基本的にネットワーク参加者が増えれば増えるほどより有効に働くシステムであるため、まずはユーザー増加に期待したいところです。
計算能力を貸し出すクラウドコンピューティング市場自体は2015年時点で931億ドル(約10兆円、IHS Technology調査)と大きく、今後も成長が見込めるため、市場の一部でも吸い取れれば、GNTの価格も上昇するでしょう。
GNTが日本に上場する可能性
現時点では日本の仮想通貨取引所に上場される見通しは立っていません。すでに複数の海外の取引所に上場されていますので、気になる方はそちらで買いましょう。
GNTが購入できる海外の取引所一覧
- バイナンス
- Huobi
- Bithumb
- OKEx