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通貨名称 | BTS(BitShares/ビットシェアーズ) |
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最大発行数 | 37億枚 |
公開日 | 2014年7月 |
公式サイト | https://bitshares.org/ |
ホワイトペーパー | – |
BTSの特徴や目指しているもの
BTSは、Cryptonomex社によって開発された、分散型自律企業(DAC)を構築するための仮想通貨・ネットワークです。OpenLedgerという分散型取引所機能が搭載されており、ユーザーは従来の中央集権型の仮想通貨取引所よりも安全かつ安価に取引ができます。アフィリエイトのような仕組みもあり、これによってユーザー数の拡大をすることを目指しています。
BTSで構築されるBitsharesネットワークには「witness(証人)」「committee(委員)」「worker(労働者)」という3つの役割があり、それぞれが自分の役目を果たすことによってネットワークが維持されます。この3つはいずれもいわばBTSのネットワークに雇われた人たちであり、これが分散型自律企業と言われる所以です。
Witness(証人)はビットコインで言うところのマイナーに相当する、取引の承認者です。ビットコインはPOSというマイニング競争に支えられていますが、BTSはDPOSと呼ばれる、間接民主制のようなアルゴリズムによって支えられています。
政治の世界においては、間接民主制のもとでは選挙で政治家が選ばれますが、BTSの場合は選挙でwitnessが選ばれます。BTS保有者にはその保有量に応じた投票権が与えられます。投票権は必ずしも行使する必要はなく、また他者に譲渡することも可能です。1度承認者になった場合、一定時間が経過しないと再び承認者になれません。
1つの取引ごとに20人前後のwitnessが選ばれ、witnessは承認作業を行った見返りとして報酬を受け取ります。当初は1取引に対して101人のwitnessが選出されていましたが、少ない人数でも安全上問題がなく、多すぎると報酬コストが嵩むことから、現在の人数に絞られました。
Committeeはブロックチェーンの仕様変更等、重大な枠組みのあり方を提案する人です。ブロック生成時間、取引手数料、witnessの選び方のルールなどは、基本的に彼らが決めます。提案はBTSの保有者による投票によって可決されます。一部の重大な仕様変更については、witnessによって提案されます。Workerは上記の提案や外部ツールの開発などを提案したり、実行したりする人たちです。提案が可決され、実行された場合、WorkerにはBTSが報酬として支払われます。
分散型取引所「OpenLedger」の仕組み
OpenLedgerは、CryptonomexとCCEDK社が共同で開発した、BTSを基軸通貨とする非中央集権型の仮想通貨取引所です。従来の仮想通貨取引所との最大の違いは、運営者がいないことです。
従来の仮想通貨取引所は、利用にあたって運営に対して秘密鍵を預ける必要があります。この秘密鍵を運営が適切に管理している限り、資産は安全に守られます。しかし、仮想通貨取引所は常に外部からのハッキングのリスクにさらされている他、内部犯行の可能性もあります。
どのように管理されているかが外部からは見えない従来の仮想通貨取引所に多額の資産を預けておくのは大変危険です。2018年にはコインチェックから580億円相当のNEM(XEM)が流出し、大きな話題となりましたし、2014年には海外の仮想通貨取引所マウントゴックスでも似たような事件が起きています。
一方、OpenLedgerには運営者がいません。開発自体は前述の通りCryptonomexとCCEDK社が行っていますが、あくまでも彼らは開発を行っているだけであり、運営者ではありません。
運営者がいないため、秘密鍵を預ける必要もなく、したがって外部や内部から仮想通貨が流出するリスクはありません。取引内容はすべてブロックチェーン上に記載されるため安全です。その代わり、秘密鍵は自分で管理しなければなりません。
このような分散型取引所は複数ありますが、OpneLedgerはBitsharesのプラットフォームを利用しています。当然、OpenLedger上でBitsharesを他の仮想通貨と取引できます。今はまだマイナーな存在ですが、従来の仮想通貨取引所でまたハッキングや流出が発生すれば、注目をあびることは間違いないでしょう。
Bitsharesには、リファールプログラムという、アフィリエイトに似た制度が採用されています。ビットシェアーズを他者に紹介し、ユーザーを増やすことに貢献した場合、紹介した人に報酬が支払われるという仕組みになっています。
ウェブ広告などでは一般的に広く採用されているシステムですが、仮想通貨で採用されるのは珍しいことです。従来の広告よりもリファールプログラムで顧客数を増やし、世界有数の決済サービスに成長したPaypalの手法を真似たものです。「Basic Account(基本アカウント)」「Annual Member(年会メンバー)」「Lifetime Member(生涯メンバー)」の3つがあります。
Basic Account
Basic Accountはいわば無料アカウントで、口座の作成や維持は無料でできますが、そのかわりリファールプログラムの対象になりません。アフィリエイトに興味が無いという場合は、基本的にこれを利用します。
Annual Member
Annual Memberは、1年間で20ドルを支払うことによって、1年間リファールプログラムに参加できるメンバーです。お試しでリファールプログラムを始めてみたい人向けです。
Lifetime Member
Lifetime Memberは、100ドルを支払うことによって、永久的にリファールプログラムに参加できるメンバーです。また、Bitsharesの手数料のうち、80%がキャッシュバックされます。初期費用こそ高いですが、Bitsharesを恒久的に使いたい場合は筆頭の選択肢になります。
OpenLedger内で使えるSmartcoinとは
OpenLedger内には、他の通貨との交換レートが固定されているSmartcoinが導入されています。例えば、bitUSDは常に1ドルの価値になるように調整されますし、bitJPYは常に1円の価値になるように調整されます。
ビットコインに合わせるbitBTCや、金1トロイオンスの価格に合わせるbitGOLDなどがあります。ユーザーは入手した仮想通貨をSmartcoinに変換することによって、その価値を保てます。もちろん、価格が上昇すると思った場合は、BTSで保有することも可能です。
筆者が考えるBTSの今後の将来性
BTSの将来性は有望であると考えていますが、一方で価値が上昇するのはまだ先のことになるとも考えています。メインの機能である分散型取引所は確かに優秀なサービスなのですが、まだその知名度が低く、広まるには時間がかかりそうです。リファールプログラムもまだまだ活用されておらず、その真価は発揮されていません。技術的には優秀であっても、広告が下手であるがゆえに消えていく可能性は否定できません。
BTSが日本に上場する可能性
現時点では、Bitsharesが日本の仮想通貨取引所に上場される見通しはありません。時価総額がそこそこ高いので将来的に上場されることはあるかもしれませんが、仮にそうなるとしてもかなり時間がかかることは間違いないでしょう。早めに買っておきたい場合は、海外の取引所を利用した方がいいでしょう。