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AST(AirSwap/エアスワップ)の概要
通貨名称 | AST(AirSwap/エアスワップ) |
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最大発行数 | 5億枚 |
公開日 | 2017年9月 |
公式サイト | https://www.airswap.io/ |
ホワイトペーパー | https://swap.tech/pdfs/SwapWhitepaperJapanese.pdf |
ASTの特徴や目指しているもの
AST(Airswap/エアスワップ)は中央集権型の仮想通貨取引所を通さずに、ユーザー同士で直接取引(交換)できるのが大きなメリットであり、価格をユーザー同士で交渉できるのが大きな特徴です。
中央集権型の仮想通貨取引所とは
現状、多くのユーザーは仮想通貨を取引する際に中央集権型の仮想通貨取引所を利用しています。中央集権型の仮想通貨取引所とは、簡単に言えば運営主体が存在する仮想通貨取引所です。例えば国内のBitflyerやZaif、bitbank、あるいは海外のバイナンスやKucoin、Bitrrexなどはいずれも中央集権型の仮想通貨取引所に該当します。
中央集権型の仮想通貨取引所は
- 利用者数が多く流動性が高い
- サポートが受けられる
- 取引所の数が多い(選択肢が多い)
などのメリットもありますが、利用する際に秘密鍵(資産の所有権を示すもの)を預けなければならないというリスクもあります。
この秘密鍵とは簡単に言えばパスワードをより複雑化したものであり、本来は絶対に他者には教えていけないものですが、実際には多くのユーザーがそのリスクを認識することなく仮想通貨取引所に秘密鍵を預けています。
取引所で秘密鍵を一括管理するリスク
運営主体は個人よりはセキュリティレベルが高いでしょうから、彼等に秘密鍵を他者に預けることが必ずしも悪いこととは言えませんが、やはりそのリスクは無視できません。仮想通貨取引所は個人よりもハッキングの対象になりやすいでしょうし、仮想通貨取引所で内部犯行が発生する危険もあります。
それを管理する手間が省けるので便利でもあるのですが、そのかわりにハッキングや仮想通貨取引所の内部犯行のリスクを追うことになります。マウントゴックスやコインチェックのハッキングによる巨額流出事件は、秘密鍵を他者に預けることがリスクの高いことであると世の中に知らしめた事件であると言えるでしょう。
分散型取引所の台頭と難点
こうした中央集権型の仮想通貨取引所の問題点が明らかになるに連れて台頭してきたのが分散型取引所です。分散型取引所とは、簡単に言えば運営主体が存在しない仮想通貨取引所です。
分散型取引所では取引板やそれを生成するためのサービスのみが提供され、ユーザーは秘密鍵を預けずに取引を行えます。秘密鍵を預けないので、ハッキングの心配はありません。
一見、中央集権型の分散型取引所よりも優秀な分散型取引所ですが、一方で欠点もあります。最大の欠点は、手数料が高いことです。普通に考えれば運営主体が存在しない分散型取引所のほうが手数料が安くなりそうなものですが、注文を毎回ブロックチェーンに書き込む必要があるため、実際には分散型取引所よりも手数料がかさみがちです。
また、運営主体が存在しない以上、サポートは基本的には受けられません。分散型取引所は自分の身を自分で守る事ができる(他者の過失で資産を失う危険がない)システムではありますが、反面それをできるだけの能力がない人にとっては厳しい世界であるとも言えます。こうした従来の分散型取引所の欠点を改善した、より先進的な分散型取引所がAirSwapです。
AirSwapはERC20トークンを直接取引できる分散型取引所
AirSwapはERC20トークンを直接取引できる分散型取引所です。ERC20とは、イーサリアムのトークンの規格の1つです。イーサリアムには新しいトークンを発行する機能がありますが、その規格は多数あります。ERC20はその多数の規格をまとめた仕様書の中で、20番目に記載されている規格です。
技術的な詳しい話は省きますが、ERC20は他の規格よりも優れた点が多いため、多くのICOで採用されています。例えばTRNやOmiseGO,バイナンスコインはいずれもERC20トークンです。エアスワップではこれらのERC20トークンをユーザー同士で直接取引できます。
この仕組の中で利用されるのがASTです。2018年5月30日時点では100AST(約3000円)を7日間ロックするとAirSwapを使えるようになります。
AirSwapは他の分散型取引所よりも手数料が安い
AirSwapの最大の特徴は、オーダーブックが存在しないため、手数料が他の分散型取引所と比べて安いことです。オーダーブックとは簡単に言えば売り注文と買い注文を1つにまとめたもので、板と呼ばれることもあります。売り板と買い板を1つにまとめたもの、ともいえます。
従来の分散型取引所はオーダーブックを採用しているため、それを作成するための手数料や時間が問題視されがちです。一方、AirSwapにはオーダーブックを生成していないため、手数料は安く、取引は迅速に行えます。また、注文内容が表示されないため、業者が顧客の注文の前に自分の注文を出し、価格を釣り上げて売り抜ける「フロントランニング」を予防できます。
価格が表示されないといくらで売買すれば良いのか判断できない、という方もいらっしゃるかと思いますが、その点は心配ありません。
エアスワップではオラクルAPIというシステムが自動的に過去の取引履歴や他の人の取引価格をもとに計算した適切と思われる価格を自動で提示してくれるためです。もちろん、これはあくまでも単なる提案であるため、従わなければならない義務はありませんが、そこからあまり離れすぎた価格をつけると注文が成立しない可能性が高まります。
ユーザー同士をマッチングするIndexer
AirSwapでは、Indexerというプログラムが注文を管理します。大まかな取引の流れは以下のとおりです。
- MakerがIndexerに注文を送信する。
- TakerがIndexerに注文情報を要求する。
- IndexerがTakerに注文情報を送信する。
- TakerはMakerの注文の中から取引相手を選び、直接取引する。
TakerがMakerの注文情報(≒価格一覧)を閲覧し、その中から最も適切な取引相手を選ぶというシステムは、フリーマーケットに似ています。
筆者が考えるASTの今後の将来性
現状では不透明な点が多いです。まず、AirSwapをどれだけ多くの人が使うのかという疑問があります。中央集権型の仮想通貨取引所には現状問題点がいろいろとあるのですが、一方で分散型取引所にも問題点があります。
どちらをより大きいと見るかは人によりますが、ハッキングなどのリスクを負っても中央集権型の取引所を使う人の割合はかなりのものになるものと思われます。その場合、分散型取引所の1つであるAirSwapの利用者は伸びず、したがってASTの価格も上昇しません。
また、現状すでに利用者を増やしはじめているEtherdeltaやBancorなどの分散型取引所もライバルになります。こうしたライバルに勝つため秘策がなければその未来は厳しいものになるでしょう。
ASTが日本に上場する可能性
現時点では上場される見通しは立っていません。早めに仕込みたい場合は、バイナンスなどの海外の仮想通貨取引所を利用しましょう。